私たち日本人にとって身近なお米。そのお米はどのような手順で作られているのでしょうか。お米ができるまで、米作りの一年間の流れを追ってみました。
1.田んぼの準備
田植えをする前に、田んぼを耕したり、肥料を入れたり、水を入れたりして、苗を植える準備をします。
現在はトラクター(田んぼを耕す機械)などができたことにより、昔よりもずっと簡単に済むようになりました。機械化が進む前は1ヶ月以上かかって作業していたようなことが、今では1週間ほどでできてしまいます。
2.育苗(いくびょう)
今日では田んぼに植える前に、ある程度の大きさまで苗を育ててから生長した苗を田植えするのが一般的です。この田植え前に苗を育てる作業を育苗(いくびょう)といいます。
一般的には30センチ×60センチの育苗箱で、稲の元となる種籾(たねもみ、もみだねとも言われます)から苗を育てます。種籾は、前の年に自分の家で収穫したものを使ったり、購入したりします。
昔は前年に自分の田んぼでとれた種籾を使うのが一般的でしたが、現在では種籾を専門につくっている農家から買うことも多いようです。
なお現在では一般的ではありませんが、育苗を行わずに、田んぼに種籾を直接まく方法(直播、じかまきといいます)もあります。ただし直播をすると鳥などに種籾を食べられてしまいやすく、その対策が必要になります。
3.田植え
苗が生長したら田んぼに植えます。近頃では田植え機を使って行うのが一般的です。田植え機に苗をセットすれば自動で植えてくれます。(運転する必要はあります)田植えも昔は何日もかかる重労働でしたが、今では機械化によって1日で済ませてしまうことも可能です。
田植えの後はふたたび田んぼに水を入れて、苗に根を張らせます。稲が根付いてからは田んぼの管理をしっかりすることが重要になってきます。
4.田んぼの管理
水の管理
田んぼに水を入れたり、減らしたり(水を落とす、といいます)します。水が少ないと根が枯れてしまいますし、逆に水を入れすぎると根が腐ってしまいます。天候によっても水の量を調節する必要があるため、長年の経験がものをいう作業です。
肥料を入れる
稲がすくすくと育つためには肥料が必要です。施肥(せひ)・追肥(ついひ)ともいわれます。肥料はただ量を与えればよいというものではなく、やりすぎに注意して適切な量を与えることが重要です。
昔は土手の草を刈り取って肥料にするようなことが行われていたそうですが、近頃では化学肥料がよく使われます。
草取り・病害虫対策
除草をしっかりしないと、雑草に養分を奪われてしまい稲が順調に成長しません。昔は人の手で何度も草刈りをしていましたが、現在では除草剤が使われます。
また病気の原因となるような虫も取り除く必要があります。タニシなど稲を食べてしまう害虫の対策も必要です。病害虫は農薬によって防ぎます。
災害対策
地域によっては台風への対策をしたり、またイノシシや鹿が稲を食べてしまうこともあるようでその対策も行います。イノシシ対策には、田んぼの周りに電気が流れる柵を張り巡らせたりしてイノシシの侵入を防いだりするそうです。
5.収穫
コンバインという機械を使って収穫します。コンバインは、前方についている刃で稲を刈り取り、収穫、脱穀までを一気にやってしまう機械です。
収穫したお米はすぐに乾燥させないと悪くなってしまいます。乾燥は各農家で行うよりも、収穫したお米をそのままライスセンターへ運び、まとめて乾燥するケースが増えてきています。
ライスセンターというのは、農家が収穫したお米をもっていくと、それからの作業をまとめてやってくれる施設です。こうしてお米は私たちのもとに出荷されます。
「米」という字を分解すると「八十八」になるといわれます。それは八十八ものたくさんの手間がかかって、ようやくお米は作られる、という意味なのだそうです。
機械化が進んで多くの作業が簡単に済むようにはなってきたものの、やはり色々な苦労があってお米ができているのだと感じました。
日々食べているお米の一粒、一粒が大変な労力の結晶だと思えば、大事にいただかねばならないと知らされますね!